セトコーヒー・アンダー・ザ・森の樹の下 レポート
普段は大阪市内に住んでいる。
アスファルトとコンクリートと電線と
コンビニに囲まれて暮らしている。
だけど9月1日、
ぼくは、
どちらかというとコンビニとか少なめの
場所にいた。
森の中にいた。
「セトコーヒー」は呼ばれたら
どこでも行きますと公言しているので、
森の中でもどこでも行きます。
いや、というか、これは2回目です。
森は。
同じカフェの常連という
密だか疎だかわからない繋がりの
ひとの繋がりで、お呼ばれして、
行った一回目。
ひじょうに好評であったので、
ぼくはまた褒め言葉をもらいに
森へと足を向けたのだった。
クルマで乗り合わせて道なき道をゆき、
萱森という森へ入る。
前日、豪雨であったため、
途中ほんとうに道がなかった。
そこは徒歩でゆく。
別に森でコーヒーを飲むのが趣旨じゃない。
皮むき間伐というテクニックを用いて、
木が生い茂りすぎて光が土まで
届かなくなった森に光を入れるという、
そういうおこないをおこなうのが趣旨なのだ。
で、いろんなひとに知ってもらいたい、
興味を持ってもらいたいということで、
素人であっても、
それぞれのできることでお手伝いをする、
という形で参加を呼び掛けている。
呼びかけているのは「森本組」さん。
で、ぼくはそのできることの、
コーヒー担当というわけ。
作業の合間、一息つく場所を用意するのも
大切なのである。
って、この活動のスタッフさんが言っていた。
天然のテーブルと椅子に集って、
まずは腹ごしらえをした。
弁当持参。
ぼくは朝、カツサンドとハムチーズサンドつくってきた。
あと、バイト先の
板チョコにクロワッサンをまきつけた状態のとき
最もポテンシャルを発揮する的なパンを
持っていったらとても喜ばれた。
ぼくとしても、普段職場でみたり食べたりしているものを、
森の中で食べるのって新鮮。
原動機付きのこぎりを使用した。
ちゃんとプロの方もいるので、
しっかりレクチャーを受けたうえで
行っています。
しかし木を切るって大変なことだな、
とやってみて思う。
こんな高トルクのマシーンを使わなければ
容易くは切断できないのだ。
マシーンを使ったとて、
何百キロもある木を切るのだから、
倒す方向や切り進め方など、
いろんなことに注意しながら
刃を入れないといけない。
奥が深い。
切った木は、
先日の豪雨でくずれた道の補修に使うことに。
現場まで運ぶ。
ひと仕事おえて休憩タイムへと。
手前にあるのはロケットストーブという火起こし器。
切り倒した木の枝を燃料とする。
ハンモックも用意されている。
あとでハンモックに寝てみたけど、
浮遊感がすごかった。
ハンモック発明したひとは
いつでもごはん大盛り無料でいい。
そう思った。
コーヒーを淹れる。
ぼくの仕事はここである。
皆に注目されているので緊張します。
緊張しないけど嬉しいです。えへへ。
コーヒーと、ケーキ。
ケーキはスタッフさんが作ってきたもので、
さつまいもと金ゴマのケーキだと。
自然な甘さといい香り。
おいしかった。
森で飲むコーヒーも絶品だ!
地元のお兄さんが木のフルートを持ってきていて。
吹いていた。
不思議な雰囲気を持ったひとで、
フルートを吹きながら木々のあいだを
ゆっくり歩いている姿がとても様になっていて、
彼が森の妖精だよ、と言われても
思わず納得してしまいそうな雰囲気と
笛の音でありました。
虫の声、木々のさざめき、フルート、コーヒー。
あれ? ここどこだっけ?
くらくらしてくる。
いい酩酊感。
ああ、
それから、
コーヒーを飲んでくれたひとのひとりで、
前回の森カフェでは少し時間が遅くなったため
眠れなくなるからということで
コーヒー飲まれなかったひとが、
今回はまだ早い時間だったので
コーヒー飲んでもらえて、
「このコーヒーなら、眠れなくなってもいい」
だって。
このせりふはしっかり覚えておこうと思った。
嬉しいよね。
休憩を終えて、
豪雨でくずれた道の補修へ。
切った木を運んで、
それをさらにカットし並べる。
同じく切った木を短くカットしたものの
一端を削り杭を作る。
これをやったのは普段からチェーンソウを
使用している専門家で、
その手際は見てて気持ちいい。
で、ハンマーで杭打ち。
ハンマーってこうやって使うものだったんですね。
モンスターのHPを減算する道具じゃないんですね。
かーん、かーん、と芯をくった良い音が響く。
ぼくもちょっと杭打ちやらせていただく。
ダンサーをやっている参加者さんに、
骨盤の使い方を褒められて喜ぶ。
だいたい終わった。
実際にクルマを走らせてみて、
強度と仕上がりを確認。合格!
ふだん皮むき間伐を行っている「森本組」さんも、
こういった左官仕事ははじめてだったらしく、
ひとつの道を自分たちの手で直したことに
感慨深げだった。
「これからこの道を通るたびに嬉しくなる」
いい言葉だ。
出張カフェ「セトコーヒー」は
左官仕事のお手伝いもいたします。
なりゆきでそうなっただけだけど、
ふだんと違うことを体験しに
行っているので、
イレギュラーな作業はとても楽しかった。
コーヒーを淹れることができる、
というだけで、
森に呼ばれたりして、
いろんな体験のきっかけをもらえるんだから、
得してるよなーと思う。
そうして得たものは
しっかり血肉としていきますです。
この日かかわった全てのひとに、
ありがとうございました!
(写真提供・miaさん)