#セトコーヒー

出張カフェのスケジュールや、コーヒーにまつわること書いてます。

セトコーヒー・イン・ザ・フォレストの中の大きなおうち

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森とは、

木がたくさんある場所のことで、

日本だとだいたい山の中にあって、

たいてい土が肥沃で、

おおむねいろんないきものがいて、

ほとんど季節時刻天候によってその表情を変える。

 

セトコーヒーののれんを背中に背負い、

BARでも雑貨店でもなく、

村落へ、森へと出向くのも3回目。

3回目の森カフェへ

昨日いってきました。

 

天候は運よく雨。

日本列島に雨雲がすっぽり覆いかぶさる、

まさに日本雨であっさめなのでありました。

 

場所は奈良県桜井市

クルマに乗り合わせ、

山へ向かい、

地形に合わせて上下左右に蛇行する3D山道を

うねうねぬにぬにと進み、

ちいさな村落へ辿りつく。

そのうちの一軒が

ぼくらが参加する森での活動の

スタッフさんのお住まいで、

まずそこでひと休み。

ちなみに、

森での活動とは、ひとつに、

皮むき間伐という行動をおこなうこと。

木が密集しすぎると地面に光が

届かなくなり土が痩せる。

それを防ぎ、また改善するためのおこないです。

実際、皮むき間伐がほどこされた場所と

そうでない場所とでは、

明るさが全然ちがっていた。

森での活動のもうひとつは、

いちにち村。

いってしまえば、

自然をたのしみましょう、というもの。

コーヒー飲んだり、カード占いしたり、

ハンモックで寝たり。

間伐などの専門的な作業ができなくても、

それぞれができることをしながら、

まずは森をたのしむ。

そこから森をしる。

そこでの活動をしる。

いいアプローチですよね。

で、まあぼくは

いちにち村という活動の

コーヒー担当として、

この度3回目の参加とあいなったわけです。

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で、

活動のスタッフさんのご自宅。

立派なおうちで

ひろい畳敷きの応接しつに

参加者が集まり、

自己紹介のあと、

お弁当を食べる。

晴れていれば森にテーブルを設置して

そこで食べるのですが、

雨天ということで屋内で。

今回の参加者のうち、

料理がとてもうまいひとが

お弁当を作ってくれました。

ごちそうすぎて危ない。

お茶がうまい。

 

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おうちの方が作ってくれた

味噌汁が、

あたたかすぎて危ない。

 

雨は依然として降りつづけていますが、

降り方はおだやかなので、

普段の活動場所の紹介と

現在の森の様子の確認などを兼ねて、

森を散策することに。

でもその前に食後の昼寝。

山のなかの一軒家で、

ひろい和室で、

昼寝。

これはハンモックと肩を並べる

一大レジャーであると言えます。

ここは、山のおくの森の中。

屋内といえども街中のそれとは

まったくちがう。

同じような静かな場所であっても、

そのノイズに含まれる情報の

純度とかは別物だと思う。

静寂のクリアー度合いがちがうのでしょう。

気持ち良かった。

 

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起きて、

レインコートを着、

長靴をはいて、

森へ。

 

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雨は木々の枝葉によって

あまり落ちてこない。

もやが濃く出ていて、

厳粛な雰囲気。

 

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地面のぬかるみや、

堆積している湿った小枝や木の葉の感触が、

長靴ごしに身体に伝わる。

空気が冷たく、澄んでいる。

皮むき間伐の活動の場所に辿りつく。

各々まわりを散策したりする。

 

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オーストラリアのアボリジニが

用いる伝統楽器、ディジェリドゥを

持ってきていた参加者が森に

倍音を響かせる。

ぼくは、スタッフさん宅にあった

親指ピアノことカリンバを適当に弾く。

 

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大きな杉の木があるというので、

森をさらに奥へ進む。

斜面が多くなり道らしい道もないので、

足下に細心の注意を払う。

移動することにこういう緊張感を持つというのは、

自然の中での自然なこころの構えなんだろうなあ。

その杉のもとへ辿りつく。

たしかに立派な樹だ。

高くちから強く上へ伸びていて、

見上げると、

上のほうの枝をつたってきた玉の雨粒が、

落下しながら幹に当たって弾んで

駆け下りるように降ってくる。

いつまで見上げていても飽きない。

 

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そのあとは暴風によって倒れた木を見に行く。

その木は倒れるというか

根が土ごとめくれあがっていて、

他の木々に寄りかかった状態で止まっていた。

珍しい光景。

しかし、

チェーンソウなどを使ってもなかなか

倒すのに苦労するような木を、

いってしまえばちから技で倒すなんて、

よほど強い風だったのだなあ。

 

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そして村落へ戻った。

ここからぼくの出番で、

コーヒーを淹れます。

おうちの方とスタッフさんが

それぞれ作ったケーキもある。

 

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さつまいもとりんごのケーキ。

 

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そして、りんごとプルーンとアーモンドのケーキ。

めっちゃうまいよ!

 

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コーヒーも、

こう、和室で、湯のみで飲むというのも

おつなもので、おいしかった。

思いつきで、

コーヒー教室なんてものをやってみる。

まずケーキのおともに全員分のコーヒーを

ぼくが淹れたので、

それを一応お手本として、

希望者にハンドドリップをやってもらう。

ぼくはけっこう感覚で淹れてるので、

それを説明することで、

自分でも新しいことに気付いたり

再確認できたりすることもあってたのしい。

そして、

ハンドドリップ初挑戦の方の

ドリップざまを見ていると、

けっこう繊細にお湯を注ぐのが難しいようで、

初心を思い出したりする。

おしえるのって刺激的!

ふたりの方に挑戦してもらったのだけど、

同じ条件で淹れてもそれぞれ

味が違っていて、おもしろかったし、

本人たちもおもしろがってくれていた。

今回は思いつきだったので

あまりちゃんとやれなかったけど、

コーヒー教室、いちどちゃんとやってみたいな。

いや、本当はぼくなどがひとにものを教えるなど

めっそうもないんだけど、もし請われれば。

 

コーヒーとケーキを楽しみながら

いろんなことを話す。

村落のなかのこの家に住むスタッフさんは、

もともと山に住みたいとは思っていたけど、

自分からいまの土地を見つけたわけではなく、

ひとから紹介してもらったと。

興味のあること、気になっていることに対して、

そのこころの赴くままに行動し求めていると、

同じ関心をもつひととの縁ができていって、

住んでいる場所の距離など関係なく、

何度か邂逅する機会が訪れて、

なにか、思わぬタイミングで、

思わぬアプローチで、

のぞむことに急速に近づいていったりする。

と、そういうものなんだなあ、って思いました。

行動したり表明したりするのって

とても大事なことだ。

動けば、気流がうまれ、

それはうずをまいていろんなものを動かし、

巻きこんでいくのだ。

って思いました。

 

ところで山のおくのこの村落は、

案外グローバルであるらしい。

フランスのウェブデザイナーさんが住んでいて、

電波が届かずネットができないのを

衛星アンテナでカバーしてまで

そこで仕事をしている、と。

村落は、

やがて出ていく場所であると同時に、

あえてやってくる場所でもあるらしい。

ぼくもだんだん森にくるのが

クセになってきている。

そこに寝泊まりしているわけじゃないし、

そこでの活動をがっつりこなしてるわけでもない。

でも五感が、そこに居たい、

と大きくない声で言っている。

 

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何時間か森の中にいると、

感覚がいつもより鋭敏になっていることに気付く。

地面は平らではなく天候も不安定で、

視界の内外にかかわらず様々ないきものが息づき、

それらの呼吸のように生命感のあるノイズが

つねに鼓膜をふるわせる。

五感を、普段つかわないレベルで行使している

感じがして、

むしろきっと、それが身体にとって自然なことで

心地よいのかも知れないし

森で淹れるコーヒーをわりと皆さん褒めてくれるから

なんか気分良くなっちゃってるだけかも知れない。

 

とても楽しかった。

森のスタッフの皆さん、

参加者の皆さん、

それから木や山。

お疲れさまでしたありがとうございましたーっ!!