#セトコーヒー

出張カフェのスケジュールや、コーヒーにまつわること書いてます。

激流のとこの石よく削れますし

珈琲を抽出する。

ということにはいろんな手段があって、

わたくしセトコーヒーはドリップ式を

得意技とさせていただいております。

カップやサーバーの上に、

ろ紙と珈琲豆の挽き粉をセットし、

お湯を注いで粉から溶出する

珈琲エキスだけをろ過するスタイル。

 

ドリップ式のポイントは、

上から下に抽出が進むということ。

粉の上にお湯を注いで、

お湯が上から下へ浸透するのに任せて

抽出をおこなう。

お湯を注ぐのは基本的に上から。

ドリッパー内の粉の

横や下からお湯を注がないので、

ドリッパー内の粉からもエキスを

取り出そうと思ったら、

基本的には上からお湯を注いで

下へ浸透するのを待つことになります。

ドリップ式の特徴は、この、待つこと。

だと思う。

お湯が粉へ染み込むのを待つ。

しっかり適切に浸透していっていると信じて、待つ。

 

最近、仕事でサイフォンコーヒーをさわるのですが、

サイフォンの抽出は、上から下と、

ちょっと違う。

サイフォンは、耐熱ガラスのふたつのパーツから成ります。

下に位置する球形のパーツには

抽出したいコーヒーの量+粉が吸収する分のお湯を入れます。

上に位置する筒型のパーツには、

ろ過するための布フィルターと珈琲の挽き粉がある状態。

下部のパーツを加熱しお湯を沸騰させると、

気圧の変化でお湯が上パーツへ移動し、

粉を押し上げるので、

粉をヘラで撹拌して、お湯と粉を馴染ませ

抽出を促し、

熱源をカットして、

珈琲が抽出されたお湯を下の球体へ戻します。

という段取り。

段取りのことはいいのですけど、

珈琲豆の挽き粉から抽出するという工程そのものは、

「お湯を注ぐ」ではなく、

「ヘラで撹拌する」です。

ドリップ式が、お湯を粉全体にいきわたらせるためには

上から下へ染み込んでゆくのを待たなければならない

のに対して、

サイフォン式は、

上部パーツに吸い上げられた熱湯に粉が漬かっている

状態になるので、

ヘラでかき混ぜれば、瞬時に粉全体を

お湯に触れさせることができる。

なので、抽出時間はドリップ式よりかなり短くとも、

しっかりした珈琲となります。

とはいえ、ドリップ式同様、出来上がる味には

いろんな要素がからみます。

お湯を沸騰させ上部パーツに移動させてから

熱源をOFFにするまでの時間、

撹拌する回数/加減など。

 

この撹拌の仕方がむずかしい。

職場では、

熱湯が上部に移動しきった瞬間に、

ヘラで全体を2周かき回し、

すぐに逆回しに2周。

1、2、3とカウントしてから

熱源をカット。

すぐにまた、2周、逆に2周かき混ぜます。

っていうことはスタッフ全員やってるのですけど、

この2周/逆2周×2の撹拌のときの

なんというか、混ぜ方? 早さ?

ヘラを持つ角度? などによって、

味が変わってしまう。

上部パーツ内の熱湯の中全体に、

密度がかたよらず粉が踊る状態にすれば良いのですけど、

強く混ぜて勢いのある渦を作ると、

真ん中に密度がかたよって、抽出ムラが出来る。

=粉全体からエキスとしっかり取り出せていないことになり、

結果かるい味になる。

混ぜ方が弱いと、最初お湯に押し上げられ水面に浮く形になる

挽き粉が一部浮いたままになったりして、

やはり抽出不足になる。

しっかり念入りに混ぜると、

過抽出になって雑味がでるし。

 

撹拌するタイミングは2度あるのですが、

1度ずつは約2秒。

ある量の熱湯とそこに浮いている粉末を、

ある幅と長さのヘラで最も効率良く撹拌するには。

液体の粘度とか、ヘラの動きで生じる流れと

巻き込まれる粉末の動き方、

バーナーに熱せられた空気が下から少しずつ

吹き出しもしているので、それも考える。

 

いや、あんまり考えなくても良いのだろうけど、

ただ、マスターの所作をみていると、

すごく弱い力で混ぜているように見えるのに

しっかり混ざっている。

ささっとヘラと回すと、

上部パーツ内が一瞬で珈琲色になる。

強く、しかしスムーズな流れが生まれて、

お湯全体がぷるんと揺れる。

でもなかなかそう出来ない。

じゃばっとなる。

 

えーと、まあつまり、

珈琲の抽出のためには、

熱湯が粉に触れるだけではなく、

撹拌が行われることも重要だと思ったということで、

それはドリップ式にも言えそう。

実際、静かに粉面に置くようにお湯を注ぎ続ければ

きれいな味に、

やや落差をつけてお湯を粉に差しこむように

勢いよく注ぐとすこし濃い味になる。

 

撹拌するため勢いよく注ぐのが正解ということでは

もちろんないけど、

これを意識しながらドリップをおこなうと、

見えなかった部分が見えてくるような気がします。

 

撹拌だいじ。

珈琲にいれた砂糖は放っておいたら

ゆっくり溶けますが、

スプーンでかき混ぜればすぐに溶けます。

触れている液体の温度だけじゃなく

そこに流れを作ることが

対象への干渉を促す、ようです。

 

あ、長ぇ!