抽出時間の圧縮
珈琲を淹れるとき、とくにドリップ式でおこなう際、
珈琲豆のおいしさを引き出せるポイントを探るために注意する項目として、
1.珈琲豆の量
2.珈琲豆の挽き目
3.抽出する量
4.抽出に使用する湯の温度
5.抽出時間
を考えます。
1~3は、あんまり変えません。
珈琲豆の種類や焙煎の深さによって変えるのは、
主に4と5。
(1~3を変えないのは、いろいろ変えすぎるとややこしいからです。)
湯温が高いと短時間でより多くの珈琲エキスを抽出できます。
ただし、雑味もでやすいです。
湯温が低いと時間はかかりますが雑味を抑えつつ
エキスをたっぷり抽出できます。
ただし香りは控えめになります。
抽出時間が短いと、甘み・酸味が豊かな珈琲になります。
抽出時間が長いと、苦み・コクが豊かな珈琲になります。
(あくまでめやすです。)
たとえば、苦みがおいしいけれど雑味も出やすい
深煎りのマンデリンを抽出するときなどは、
湯温は低め/抽出時間は長め、
でことをおこないます。(めやす。)
湯温と時間は、重要、ということです。
ところで最近、サイフォンコーヒーもよくおこないます。
サイフォンの名人の店で働いているのですね。
熱湯と珈琲豆の挽き粉が交わることで、
珈琲の抽出はおこなわれるのですが、
注いだお湯が粉に染み込むのを待つドリップ式に対して、
サイフォンの場合は、粉がお湯の上に浮かんだ状態のところを
ヘラで撹拌します。
撹拌する場合、粉がお湯の中を舞うことになるので、
ひとつぶひとつぶが隈なくお湯に触れ、
短時間でもしっかりと抽出されます。
同じサイフォンでも、撹拌する際の混ぜ方にこだわり、
短時間で効率よく抽出するやり方と、
粉とお湯が触れている状態で
充分な時間沸騰させるやり方があるようです。
抽出時間による味の変化というのは確かにありますが、
理論的な撹拌を重視するやり方は、
本来じっくり時間をかけて抽出される珈琲エキスを
短時間で取り出してしまおう、
という狙いがあるということです。
しかしなかなか簡単ではなく、粉がお湯の中を偏りなく、
しかし勢いよく舞うような撹拌が出来ていないと、
ただ短時間で抽出しただけの味のない珈琲になります。
逆に、狙い通りの撹拌が出来れば、
短時間で香り・味・コクともに優れたおいしい珈琲となります。
サイフォンの場合は、構造上、
必ず沸騰しているお湯で抽出することになります。
なので、同じ温度、同じ抽出時間でも、
撹拌で抽出の進行度合いが変わるということ。
撹拌する場合でも、ヘラの動かし方
(器具内のどの部分にどの方向/速さの流れを作るか)
によって、味の出方は変わります。
いろいろ試しましたが、
一方向に勢いよく混ぜてもダメなようです。
働いている店のやり方として、
順回転/逆回転ワンセットで行うのですが、
あとに来る回転が最初の回転を
完全に打ち消しているとダメなようです。
異なる方向のふたつの流れで粉に摩擦を加える、
ようなイメージ。
流れによる摩擦を用いて、
粉がお湯に触れる時間が同じでも、
より効率の良い抽出がおこなえます。
もちろんやり過ぎれば雑味が出てしまいますが。
撹拌/流れ。
最初に挙げた、抽出の際、
コーヒーの味を左右する5つの項目に加えて、
ドリップの場合は、
・お湯の注ぎ方
という項目も加えることが出来ます。
ぼくは、静かに置くように、
まんべんなく注ぐやり方をしていて、
それだと影響を実感しがたいのですが、
同じ条件で注ぎ方だけをやや強く
(高い位置から注ぐ/水平方向にもぐるぐる動かす、等)
すれば、少し濃い味になるでしょう。
サイフォンは、特にぼくが教わったやり方は、
お湯の流れというものが顕著にあらわれるやり方です。
そこから得られる情報を、ドリップ式の際の、
お湯の注ぎ方に当てはめて考えると、
いろいろさらに、遊べそうです。
以前、おどろくほど美味しいのに、
注文から提供までの時間がとても短い珈琲をのんだとき、
どうやって淹れているのか不思議でした。
珈琲豆の量も器具も一般的なもの。
この謎が解ければ、
短時間で芳醇な珈琲を提供できるということで、
これは強力な武器になる。
と思いつつ、わからず仕舞いだったのですが、
ちょっと見えてきました。
本来じっくり時間をかけないと出せない味を、
ずっと短い時間で引き出す方法。
お湯の注ぎ方/流れの作り方で、
抽出時間を圧縮することは可能なはず。
サイフォンの場合は体感済み。
ドリップ式で身につけられれば、
低温/長時間ドリップで得られるのと同じ味を、
低温/短時間で得られるということで、これは、熱い。
これは、遊べる。
お正月、親戚みんなでいかがか。
ぼくはバドミントンします。
あ、というか、文章を圧縮しますはい。